コンドロイチンやSAM-eは関節以外にも効果アリ!
公開日:2025/01/08 / 最終更新日:2025/01/08
コンドロイチン硫酸の投与で
犬の炎症性腸疾患が改善する?
炎症性腸疾患(Inframmatory Bowel Disease)は、
原因不明の慢性の嘔吐、
下痢、体重減少などの症状を
特徴とする病気で、
人だけでなく
犬や猫でもみられる疾患です。
英語名を略して
IBDと呼ばれることもあります。
長期間の
炎症性腸疾患の管理には、
コンドロイチン硫酸と
プレバイオティクス(※)が
副作用なしで、
- 腸の炎症と酸化ストレスに対する保護作用
- 腸内細菌叢の正常化
に関わると注目されています。
※βグルカンや
マンナンオリゴ糖などの食品成分のことで、
正常な腸内細菌叢を構成する腸内細菌の餌になる。
スペインのバイオテクノロジー企業
「BIOIBERICA」のSegarraらの研究チームが、https://www.bioiberica.com/es
コンドロイチン硫酸と
プレビオティクスで
炎症性腸疾患は改善するかという
研究論文を出しています。
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コンドロイチン硫酸とプレバイオティクスの効果
組織学的に
炎症性腸疾患と診断された
27匹の犬すべてに対して
IBDに有効な療法食である
加水分解フードを与え、
そのうち
コンドロイチン硫酸と
プレバイオティクスの
サプリメントにを与える(9匹)と
与えない(10匹)に分けて
効果を判定しました。
その結果、
どちらの群でも
臨床症状に基づく
炎症性腸疾患のスコア
(CIBDAI:Canine inflammatory bowel disease activity index)
の低下が見られました。
CIBDAIは
犬の炎症性腸疾患の
活動性の指標に用いられるもので、
腸管の組織を取って
炎症している様子をみる検査や
血液検査でわかる
炎症の指標マーカーなどとの
相関性がみられるため、
問診で
重症度をはかる指標として
用いられています。
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サプリメントを与えられていない
群でも
改善がみられたことから、
CIBDAIの低下は
どちらの群でも
与えられていた加水分解食の
効果を示していると考えられます。
一方、
組織における
実際の炎症は、
サプリメントを与えられた犬でのみ
改善が見られました。
サプリメントを与えられた群は
治療開始後
60日の血清コレステロール値と
酸化ストレスへの保護作用がある
パラオキソナーゼレベルが高く、
サプリメントを与えられていない群では
120日後に
血清抗酸化能レベルが
(Total Antioxidant Capacity)
低下しました。
いずれの群でも
副作用は報告されませんでした。
これは
コンドロイチン硫酸と
プレビオティクスが
酸化ストレスから
腸を守る機能があることを
示唆しています。
また、
炎症性腸疾患によって
腸の絨毛(じゅうもう)や
乳糜管(にゅうびかん)が
ダメージを受けることで
コレステロールの産生が減ることから、
コレステロール値の低下は
腸組織のダメージを反映していると
考えられます。
このことから、
血清コレステロール値の上昇は
炎症がより少ないことを
示していると考えられます。
血清抗酸化能レベルが
サプリメント非投与群で低かったのは、
酸化に対する
防御能が低下していると
いえるでしょう。
SAM-eは犬の認知機能の改善にも有効?
動物医薬品メーカー大手
「Virbac」の研究所のReme CAらは、
犬の加齢に関連した性疾患
(認知機能)の改善に、
経口でのS-アデノシルメチオニン
(SAM-e)投与が有効ではないか
という報告を発表しました。
最低でも1カ月以上
認知機能障害を
示している犬を対象に、
SAM-eを1kgあたり
18mg経口投与した17匹と、
SAM-eではないタブレットを
与えられた犬19匹にわけて
2カ月間の実験を行いました。
認知機能改善の効果判定は、
14項目の振る舞いと
運動に関するアンケートを
飼い主に記入してもらう形で
行いました。
その結果、
SAM-eを与えられていない
群に対して、
SAM-eを与えられた群では
活発性が増すことが
わかりました。
4週間後では
SAM-e投与群の41.7%、
与えられていない犬の
2.6%に活発性が増し、
8週間後ではS
AM-e投与群57.1%、
与えられていない犬の9.0%で
活発性の向上がみられたのです。
意識がはっきりしているかの評価でも
同じ傾向がみられ、
4週間後では
SAM-e投与群33.3%、
与えられていない群の17.9%、
8週間後では
SAM-e投与群59.5%、
与えられていない群の21.4%で
改善がみられました。
アンケート結果の総計では、
SAM-eを与えられている群の41.2%と
与えられていない群の15.8%で、
認知機能障害が
以前と比べて
50%以上減少したと
報告されています。
サプリメント成分が入っていない群でも改善がみられた理由
認知機能改善の効果判定は
飼い主さんの
自己申告をもとに行われたため、
飼い主さんが
「薬を飲んでいるから良くなった」と思い込む
プラセボ効果(プラシーボ効果)の
影響が考えられます。
それを減らすため、
今回の実験では
SAM-eが入ったタブレットと
有効成分が入っていない
偽のタブレットを与えています。
飼い主さんは、
自分が与えているのが
有効成分入りか、
そうでないかわかりません。
SAM-eを与えられていない群でも
改善効果がみられたのは、
プラセボ効果によるものと
考えられます。
コラーゲンは人の皮膚の弾力性を増す!
犬ではなく
人間での話になりますが、
コラーゲン加水分解物が
加齢による皮膚の改善効果が
あるのではないかという研究が
ドイツのキール大学のProkschによって
報告されたので
紹介します。
33歳から55歳の女性について
2.5gのコラーゲン加水分解物と
5.0gのコラーゲン加水分解物、
それらが入っていない
偽薬を服用する群に分けて
2カ月間実験を行いました。
皮膚の弾力性、皮膚の水分、
経表皮水分損失量、皮膚の粗さについて
実験開始時と比較したところ、
2カ月投与から
4週間後の追跡調査でも
皮膚の弾力性を評価しました。
皮膚の水分と
経表皮水分損失量については、
統計学的に
差がある結果は出ませんでしたが、
コラーゲン加水分解物を服用していた
二つの群では
いずれも皮膚の弾力性が改善しました。
また、
投与終了後
4週間後の弾力性も
コラーゲン服用群の方で
高かったとのことです。
まとめ
サプリメントを与える際に
サプリメントは
薬と違って
病院以外でも
手に入れることのでき、
体に有用な作用が
期待されるものです。
全ての犬で
効果があるものではなく、
個人差はありますが、
合う体質の子にとっては
とても良い補助的な治療、
もしくは
予防になります。
投与する量や、
原料についても
効果に関わってくる
可能性がありますので、
ワンちゃん猫ちゃんに与える時は、
かかりつけの
動物病院の先生に
相談してみるとよいでしょう。
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