グレインフリーフードは危険?与えるメリット・デメリットって?

公開日:2024/10/10 / 最終更新日:2025/02/13
グレインフリーとは
グレインフリーの
グレイン(grain)とは
「穀物」のことで、
グレインフリーは
「穀物不使用」を意味します。
穀物の定義は
さまざまありますが
イネ科に属する稲、小麦、トウモロコシや、
雑穀と呼ばれるヒエ、アワ、キビを指すことが
一般的です。
広義では
ソバやマメ科植物を
含むこともあります。
日本では
2014年頃から
「グレインフリー」という言葉が
広がり始め、
2018年頃から
グレインフリーのドッグフードや
キャットフードが数多く
市販されるようになりました。

グレインとグルテンの違い
良く混同されがちな言葉に
グルテンがあります。
グレインと似た言葉に
「グルテン」
(gluten)がありますが、
グルテンは
小麦に含まれる「グルテニン」と
「グリアジン」というタンパク質が
絡み合って
できたものです。
パンやうどんをこねると
モチモチした生地ができるのは、
グルテンができているためです。
グルテンは
「セリアック病」という
遺伝性の不耐症を起こしたり、
犬でも
アイリッシュセッターが
セリアック病と似た
グルテン過敏症を起こすことが
知られています。
グルテンを避けると
結果的に糖質を避ける
「糖質制限」になることから、
人間では
グルテンフリーダイエットが
流行ったこともあります。
犬や猫はグレインを消化できる?
グレインフリーのペットフードが
注目される理由の一つとして、
「犬や猫は穀物を消化するのが苦手だから」と
言われることがあります。
確かに犬は
もともと肉食でしたし、
猫は
現在も肉食です。
実際、
生米を食べた犬が
下痢をしたという話も
珍しくありません。
しかし、
生米が消化に悪いのは
犬だけでなく人でも同じ。
米や小麦に含まれるデンプンは、
水と熱を加えることで
構造が崩れて
消化性が高まります。
これをα化(あるふぁか)と言い、
犬も
α化されていれば
デンプンを消化でき、
実際に
α化されたデンプンを含むフードを
100%消化できていたという
研究結果もあります。
そのため、
穀物は消化しづらいから
肉メインでごはんを選びましょう
というのは間違いで、
家族として
私たち人間と暮らす中で、
バランスの取れた食事が
大切です。
猫についても
同様ですが、
肉食の猫にとって
消化しやすいものでないのは
事実です。
総合栄養食の基準値を
策定しているAAFCOは
(米国飼料検査官協会)
炭水化物の基準値を設けていませんが、
乾物当たり
40%を超えると
下痢などの消化不良が起こる
可能性があります。
最近の研究で、
犬の祖先であるオオカミは肉だけでなく
植物を主食にすることもあることがわかってきました。
「オオカミの多彩な食生活、研究者も驚く」

グレインフリーのドッグフードが市販される理由
グレインフリーのドッグフードが
注目されるようになった理由の一つに
アレルギーへの
不安があるようです。
グレイン、
つまり穀物がアレルギーを
起こしやすいという考えですが、
それらの不安には
2つの誤解があります。
- アレルギー検査の誤解
- 穀物アレルギーの誤解
1、アレルギー検査の誤解
よく
「アレルギー検査で陽性だったから
◯◯は食べさせられない」と
考える飼い主さんがいますが、
「陽性=アレルゲン」ではありませんので、
実際に
アレルギー症状が出ていなければ
避ける必要はありません。
食の選択肢を狭めることは
飼い主さんにも
犬にも
ストレスになりますし、
不必要な除去は
アレルギー症状を悪化させる
可能性があります。
関連記事
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2、穀物アレルギーの誤解
穀物は
アレルギーを起こしやすい
イメージを持つ飼い主さんも
少なくありませんが、
それも誤解です。
ドイツ・ミュンヘン大学の調査では、
犬のアレルゲン食材として
報告が多かったのは
牛肉、乳製品、鶏肉と続きました。
小麦は4番目、
トウモロコシは7番目、
米は11番目です。

穀物が
アレルギーを起こしやすい
ということはありませんし、
前述した通り、
アレルギー症状が出ていなければ
避ける必要はありません。
グレインフリーのドッグフードは、
穀物を食べると
アレルギー症状が出る犬のための
フードなのです。

グレインフリードッグフードのメリット
高級路線の
ドッグフードでは特に
「グレインフリー」
と書かれることが多く、
パッケージだけで比較してしまうと
メリットがあるのではと
思いがちです。
しかし、
主なメリットとして挙げられるのは
以下の2つです。
- 穀物アレルギーを避けることができる
- 何となく体に良さそうが気がする
1、穀物アレルギーを避けることができる
穀物を食べると
アレルギー症状が出る犬にとって、
グレインフリーは
大きなメリットです。
ただ、
アレルギー症状が出ていないのに
アレルギー検査の
陽性反応だけで判断したり、
飼い主さんの思い込みで
穀物アレルギーだと
判断したりしないように
注意してください。
2、何となく体に良さそうが気がする
これがグレインフリーの
ドッグフードが売れている
大きな要因です。
「◯◯フリー」と書かれていると、
何となく
体に良さそうなイメージが
わいてしまうもの。
それでも
デメリットがなければ
問題ありませんが、
グレインフリーは
危険性が
指摘されています。

グレインフリーのキャットフードが市販される理由
猫の場合は
ドッグフードの
「アレルギーを避けるため」とは違って、
「肉食だから必要ない」という理由で
グレインフリーが
選ばれるようです。
ただ、
こちらも誤解があります。
グレインフリーにして
穀物を避けても、
炭水化物は別の食材で
配合されているはずだからです。
肉食だからという話であれば
炭水化物を抜くべきで、
穀物だけを抜く理由には
なりません。
猫にとっても
効率良く
エネルギーを作ることができる
糖質は重要ですし、
食物繊維は
腸内環境を整えてくれます。
つまり
猫もアレルギー症状が出ていない限り、
穀物を抜くメリットは
特にないのです。

グレインフリーのデメリット
ドッグフードや
キャットフードの中には
結果的に
グレインフリーになっているものもあり、
グレインフリーを食べているから
体に良くない
ということはありません。
しかし、
グレインフリーのドッグフードや
キャットフードは
以下のようなリスクも
指摘されています。
グレインフリーのフードだけを
与え続けている方は
注意が必要です。
- 高タンパクになると肝臓や腎臓の負担が増す
- 心臓病との関連性が疑われている
1、高タンパクになると肝臓や腎臓の負担が増す
犬や猫は
摂取したタンパク質を
アミノ酸に分解し、
肝臓で
グルコース、尿素窒素、
そして
エネルギーに変換します。
さらに
タンパク質の老廃物である
尿素窒素は、
腎臓でろ過します。
つまり
タンパク質に頼るほど、
肝臓や腎臓に
負担をかけることになります。
また、
高タンパクフードは
犬の攻撃性を高める
可能性があります。
体内のアミノ酸濃度が
高くなると、
セロトニンを作るトリプトファンが
脳内に入るのを
邪魔します。
セロトニンは
精神安定に
深く関わっており、
不足すると
イライラ感につながってしまうのです。
『食と問題行動』(ペット栄養学会誌)
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2、心臓病との関連性が疑われている
2019年、
アメリカの食品医薬品局(FDA)が、
グレインフリーの
ドッグフードを食べている犬は
心臓病の一種である
拡張型心筋になりやすい
可能性があると発表しました。
カリフォルニア大学デービス校からは、
タウリンの欠乏が
関係しているのではないかとする研究が
出ています。
アメリカの科学ニュースサイト
「RealClearScience」は、
2019年最大の
ジャンクサイエンス(エセ科学)として
グレインフリードッグフードを挙げ、
「グレインフリードッグフードは
犬を殺すかもしれない」と紹介しています。
2022年には
ミズーリ大学から
「グレインフリードッグフードの市場拡大と
心臓病の犬の数に相関関係は見られなかった」という
調査報告が出されましたが、
グレインフリーと心臓病は
関係ないという結論には
至っていません。
関連記事
犬の心臓病!初期~末期症状とは?

まとめ
- グレインフリーは最近の流行り
- アレルギー症状がなければ必要ない
- グレインフリーにはデメリットもある
グレインフリーフードは
アレルギー症状が出ている
犬や猫には必要ですが、
アレルギーのない子の体に
良いという
科学的な根拠はありません。
逆に
病気になる可能性も
指摘されています。
不確かな情報や
流行りに流されることなく、
愛犬・愛猫にとって
本当に良いごはんを
選んであげてください。
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